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日本魚病学会事務局(2013年1月より)
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第36巻 3号

天然ヒラメにおける貧血症の発生状況

2000/11/2
虫明敬一・森 広一郎・有元 操
 北海道から九州にかけての沿岸10海域で漁獲されたヒラメ(合計416尾)について,貧血症に関する調査を行った結果,北海道を除くすべての海域の天然魚にヘモグロビン量の低下,赤血球数の減少および幼若赤血球の増加等の貧血症状を呈する個体(計130尾)が認められた。これら貧血魚の90%に単生虫 Neoheterobothrium hirame 成虫の寄生あるいはその寄生痕が認められ,成虫の寄生数とヘモグロビンの値の間には負の相関関係が認められた。このことから,天然魚における貧血症の発生には,N. hirame の寄生が大きく関与していると考えられた。

フィリピンにおける養殖ウシエビの大量死に関与する発光性ビブリオ:種組成

2000/11/13
L. D. de la Pe紡・C. R. Lavilla-Pitogo・M. G. Paner
発光性ビブリオ病が発生しているフィリピン各地の養殖場のウシエビおよび飼育水から189株の発光細菌を分離した。検査の結果,それらの分離株は Vibrio harveyi(65.5%),V. logei( 7 %),Photobacterium sp.( 6 %),および V. orientalis( 1 %)などの発光細菌に分類された。また,本来非発光性とされる V. campbellii(16%)や V. mediterranei などに同定された株もあった。V. harveyi の 3 代表分離株はウシエビに病原性を示し,発光性ビブリオ病の主原因は V. harveyi であると判断された。

不顕性感染ニジマス白血球からの IPNV の検出

2001/2/16
S. Rodrguez・M. Alonso・S. I. P屍ez-Prieto
 IPNV 感染ニジマスの血液と腎臓から採取した白血球を,1)間接蛍光抗体法による陽性細胞のフローサイトメトリー(FCM)解析,2)RT-PCR あるいは nested-PCR に供試し,ウイルス検出結果を通常の培養法と比較検討した。培養法は供試 7 検体すべてで陽性であったが CPE の発現に 7 ~28日を要した。RT-PCR 法では 7 検体中 5 検体,nested-PCR 法では,7 検体すべてで陽性であった。FCM 法でもすべての検体から 8 ~24時間で IPNV が検出された。白血球からの IPNV 検出法は簡便かつ実用的な方法であることが判明した。

韓国の養殖コイに発生したウイルス性疾病

2001/5/7
呉明柱・鄭星珠・崔泰鎮・金享洛・K. V. Rajendran金栄鎮・朴明愛・田世圭
 1998年 6 月から養殖コイに原因不明の大量死を伴う流行病が発生した。本病は韓国国内全域のコイ養殖場で水温 20-24。C の時期に発生し,死亡率は約70%から100%にまで達した。疾病発生地域の瀕死魚を調査した結果,全地域の病魚から FHM 細胞のみ特異的な CPE を発現する直径 70ミ80 nm のウイルスが分離された。また,その培養液を用いた浸漬感染実験により疾病が再現され,本疾病は韓国では初めてのコイのウイルス感染症と考えられた。

天然ヒラメからのウイルス分離

2001/5/8
高野良子・森 広一郎・西澤豊彦・有元 操・室賀清邦
 天然ヒラメから魚類病原ウイルスの分離を試みた。1999年および2000年に日本沿岸域 9 ヶ所で採捕したヒラメ,合計274尾のうち 8 ヶ所111尾(40.5%)からアクアビルナウイルスが分離され,2 ヶ所18尾(6.6%)から VHSV が分離された。なお,アクアビルナウイルスの代表分離株は YTAV と同定された。ビルナウイルス 4 株をヒラメ幼魚(8.7 g)に筋肉内接種したが(103.0ミ107.6 TCID50/尾),いずれの株にも病原性は認められなかった。一方,VHSV は102.0 TCID50/尾の接種量でもヒラメ幼魚(24.8 g)に高い病原性(累積死亡率60%)を示した。

緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子を導入した Pseudomonas plecoglossicida のアユへの付着性と感染性

2001/5/21
Sukenda・若林久嗣
 P. plecoglossicidaに移入できるGFP遺伝子発現ベクターとして pSKL01, pSKT03, pSKN04 の 3 つのプラスミドを構築した。いずれのベクターも P. plecoglossicidaの培地上での発育速度やアユに対する病原性を損なわなかったが,pSKT03 が GFP 産生能および非選択培地における安定性の点で最も優れていた。本標識菌を用いた浸漬感染実験において,アユの体表に付着する菌体を蛍光顕微鏡下で観察した結果,P. plecoglossicida は専ら皮膚や鰭の微小な損傷部に付着することが明らかとなった。

実験的 Streptococcus iniae 感染ヒラメの発病過程に関する免疫組織化学的検討

2001/5/29
H. T. Nguyen・金井欣也・吉越一馬
 ヒラメレンサ球菌症の感染発病過程を明らかにするために,経口法および菌浴法で攻撃したヒラメ各組織でのS. iniae の増殖の様子を経時的な生菌数測定および免疫組織化学により調べた。両攻撃法により鰭や体表に出血性患部が形成され,S. iniae の著しい増殖が認められた。感染初期では腎臓および脾臓の生菌数が最も高く,尿細管周囲の細静脈,脾臓の莢組織で食細胞に取込まれた S. iniae が増殖し,時間経過とともに S. iniae を取込んだ食細胞が他の組織の血管内にも観察されるようになった。

単生類 Neoheterobothrium hirame の実験感染によって作出したヒラメ貧血症の駆虫による治療

2001/4/23
良永知義・釜石 隆・池田華子・反町 稔
 近年問題となっているヒラメ貧血症の原因究明のため,N. hirame の実験感染により貧血ヒラメを作出するとともに,作出した貧血魚から虫体を駆除した。その結果,実験感染によりヒラメ貧血症特有の血液性状が再現され,駆虫により貧血から回復した。今回の実験により本貧血症は,本虫の寄生自身によって生じることが示唆され,N. hirame が何らかの病原体の媒介宿主となって生じる可能性は否定された。また,駆虫が貧血症の治療に有効であることが示された。

アユの細菌性出血性腹水病に対するオイルアジュバント添加ワクチンの予防効果

2001/2/6
二宮浩司・山本充孝
 養殖アユの Pseudomonas plecoglossicida に起因する細菌性出血性腹水病に対するワクチンの開発のため,ホルマリン死菌にオイルアジュバント(MONTANIDE-ISA711または -ISA763A)を添加した腹腔内注射ワクチンの有効性を検討した。ワクチン接種22日後と52日後に腹腔内注射攻撃試験を行った結果,アジュバント添加注射ワクチン区に高い有効性が認められた。しかし,少なくとも65日後まで魚体内にアジュバントの残留が確認された。

中華人民共和国におけるウイルス性神経壊死症の発生

2001/5/8
L. Lin・J. G. He・森 広一郎・西岡豊弘・J. L. Wu・S. P. Weng・虫明敬一・有元 操・中井敏博
 中華人民共和国の種苗生産施設で生産された孵化 7- 45日齢のチャイロマルハタとキジハタに異常遊泳を特徴とする大量死が発生した。病魚の脳および網膜組織には空胞形成が認められ,神経細胞等に直径 25ミ28 nm のエンベロープを持たない球形ウイルス粒子が観察された。また,病魚から魚類ノダウイルスの外被タンパク質抗原および遺伝子が検出されたことから,本病はウイルス性神経壊死症(VNN)と診断された。本報告は中華人民共和国における VNN の初記載である。