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第36巻 2号

ハモの鰾内における Aerobiotrema 属吸虫の寄生

2000/12/25
山田祥朗・岡 英夫・岡村明浩・田中 悟・宇藤朋子・堀江則行・三河直美・小川和夫
愛知県内の市場で購入した天然ハモ(全長 41ミ116 cm)23尾のうち11尾の鰾内に吸虫Aerobiotrema muraenesocis の寄生がみられた。鰾腔内に産出された虫卵の孵化実験によって,卵は海水中で孵化する可能性が示唆された。鰾壁にみられた出血および虫体消化管の組織化学によって本虫は鰾壁から吸血すると考えられた。病理組織学的には,宿主の鰾壁には不規則な凹凸が現われ,固有層の肥厚,内膜の出血や潰瘍が認められた。こうした病理的変化は多数の寄生を受けた魚ほど目立った。

流行性潰瘍症候群(EUS)の魚から分離されたラブドウイルスのスネークヘッドに対する病原性

2000/12/27
G. D. Lio-Po・L. J. Albright・G. S.・Traxler E. M. Leano
 EUS に罹病したスネークヘッドから分離したラブドウイルスを未感染のスネークヘッド稚魚に筋肉内接種したところ,20ミ22.5。C では 103TCID50/尾以上の接種量で皮膚に患部が形成され,ウイルスが再分離されたが,28ミ32。C では無症状でウイルスも分離されなかった。ウイルスを腹腔内接種した場合,皮膚に患部は形成されなかったが,対照魚は全数生残したのに対し,ウイルス接種区では多くの魚が死亡した。

HIRRV 組換え G タンパクワクチンの感染防御効果

2001/1/14
Joung-Im Eou・Myung-Joo Oh・Sung-Ju Jung・Young-Hwan Song・Tae-Jin Choi
 韓国の養殖ヒラメ由来 HIRRV 株を接種した RTG-2 細胞の toal RNA から,RT-PCR で HIRRV の G proein を含む cDNA を得,G proein 遺伝子の C 末端側の半分を GST-fusion proein として発現・精製し,ワクチンとした。ヒラメ稚魚を低濃度(50 mg/mL)と高濃度(300 mg/mL)のワクチン液に 7 分間浸浸し,30日後に攻撃試験を行った。高濃度,低濃度処理群及び対照群の死亡率は,腹腔内攻撃では6.7%,6.7%,43.3%,浸浸攻撃では1.7%,0%,15%であった。

水カビ病罹病サケ科魚類から分離された細菌によるミズカビの in vitro での発育抑制

2001/1/24
M. M. A. Hussein・畑井喜司雄
 水カビ病罹病ヤマメおよびニジマスの患部から47株の細菌が分離され,その中の 5 株がSaprolegnia parasitica H2 および S. salmonis NJM 9851 の発育を抑制した。5 株は Alteromonas,Pseudomonasおよび Aeromonas 属の細菌に同定された。培地の違いによるミズカビ発育抑制を検討した結果,細菌は BHI および HI 寒天培地で培養された時に強い抗真菌効果を発現した。水カビ病罹病魚の患部にミズカビの発育を抑制する細菌が存在した為,今後,バイオコントロールの可能性が示唆された。

飼育水 pH 調整による病原真菌のアルテミア幼生における感染防除効果

2001/2/8
安信秀樹
 ガザミ幼生に病原性を示す4種の真菌の感染が,飼育水の pH を9.25に調整することによって防除可能か否かを,アルテミアを用いたモデル実験により検討した。Halocrusticida parasitica の遊走子の試験管内発芽は pH 9.25で抑制され,アルテミアへの感染も完全に抑制された。Haliphthoros 属の 2 株の発育は pH 9.25 で抑制され,感染率も pH 8 の場合のおよそ1/2 であった。Lagenidium callinectes は pH 9.25で発育が抑制されず,100 %の感染率を示した。

五ヶ所湾のマガキにおける卵巣の異常肥大の季節変動

2001/2/28
今中園実・伊藤直樹・小川和夫・若林久嗣
 未同定の細胞内寄生原虫によるマガキ卵巣の異常肥大(いわゆる異常卵塊)の季節変動を1996年 7 月から 1 年間,約 2 ヶ月おきに調べた。寄生体は 8 つの異なる形態を取ったが,通常そのうちの 4 形態が見られた。多くの場合,組織の塗抹標本観察による寄生率は肉眼による発症率より高かった。養殖マガキでは天然マガキと異なり,翌春まで寄生率は低下しなかった。これは両者の生理状態や生息環境の違いによるものと思われた。寄生虫の発育と宿主細胞の成熟過程から寄生虫の生活環とマガキ卵巣における患部形成のメカニズムを考察した。

バングラデシュの野生エビ及びエビ養殖場に生息する甲殻類からの PCR 法による WSSV の検出

2000/10/30
Md. S. Hossain・S. K. Otta・I. Karunasagar・I. Karunasagar
 バングラデシュの野生のエビ類及びエビ養殖場に生息する養殖対象外の甲殻類について,ホワイトスポット病ウイルス(WSSV)の存在を PCR 法で調べた。野生エビでは,Penaeus monodon, P. semisulcatus, P. indicus, Metapenaeus monoceros, M. brevicornis, Palaemon styliferus, 養殖場の甲殻類では M. monoceros, M. brevicornis, Scylla serrata, Pseudograpsus intermedius, P. styliferus, P. indicus, Macrobrachium rosenbergii が PCR 陽性であった。これはバングラデシュにおける WSSV の PCR 法による最初の検出例である。

稚仔魚の脾臓細胞幼若化応答の簡易測定法

2000/11/30
八木基明・旗先好一・中原 登・原 研治・橘 勝康・槌本六良
 稚仔魚の脾臓細胞幼若化の簡便測定法を確立するため,ヒラメ 1 年魚の脾臓細胞をマイトーゲン(ConA,PWM, LPS)と培養し,アラマーブルーを用いて幼若化応答を測定した。72時間培養後の細胞数と吸光度には正の相関関係(r=0.9914, p<0.01, n=12)が認められ,至適培養条件はマイトーゲン濃度: ConA 100 mg/mL, PWM 10 mg/mL, LPS 1 mg/mL,細胞数:5×105 cells/well であった。また,赤血球存在下でもヒラメ,イシダイ,トラフグ稚仔魚の脾臓細胞の幼若化反応の測定が可能であった。

Marine Birnavirus のアユに対する病原性

2001/1/24
星珠・鈴木 聡・呉 明柱・川合研児
 アユから分離された marine birnavirus(AY-98)のアユに対する病原性を調べるとともに,自然発病魚と感染実験魚の病理組織学的観察を行った。1 尾当たり105.8と105.4 TCID50 を腹腔内接種した区では 2 週間でそれぞれ71%と70%が死亡した。対照区では12%と 0 %が死亡し,AY-98 はアユに病原性を持つことが明らかになった。病理組織学的には自然発病魚と感染実験魚ともに脳のうっ血と膵臓の壊死が特徴的に見られた。体形異常と脳のうっ血の症状から AY-98 は viral deformity virus に近いものと考えられた。

シンポジウム「我が国における魚類ワクチン開発の現状」

岡本信明・中西照幸・飯田貴次
 2001年 3 月29日東京水産大学においてシンポジウム「我が国における魚類ワクチン開発の現状」が開催された。先ず,ワクチンの使用体制,使用の現状と課題について報告がなされ,続いてウイルス性疾病及び細菌性疾病に対するワクチンの開発の現状が述べられた。次に,新しいワクチン,アジュバントの開発の動向が紹介されると共に,ワクチン以外の種々の予防対策について報告がなされた。最後に魚類ワクチン開発の問題点と課題が提議され,これを基に討論が行われた。