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第36巻 1号

化学薬品および免疫増強剤によるグッピーのテトラヒメナ感染の予防

2000/8/17
A. Ponpornpisit・延東 真・村田 寿
 グッピーの Tetrahymena pyriformis 実験感染において,各種の化学薬品と免疫増強剤の感染防御効果を検討した。感染実験には尾鰭基部を予め10%酢酸で処理した魚を用いた。化学薬品のなかでは感染防御効果と安全性から考えて,食塩浴(0.5%)が最も適当であった。免疫増強剤 C-UPIII の経口投与も感染率を低下させた。しかし単独使用では完全な感染防御ができなかったので,それらを組み合わせたところ,顕著な副作用なしに感染を防御できた。

In situ ハイブリダイゼーション法によるアユの諸器官からの Flavobacterium psychrophilum の検出

2000/10/27
H. Liu・泉庄太郎・若林久嗣
 冷水病菌を特異的に検出する in situ ハイブリダイゼーション法を開発し,実験感染および自然感染アユについて諸器官のパラフィン切片標本を検査した。実験感染アユでは,体躯筋肉の注射部位や縫い針の穿刺部位に多数の菌が観察されたが,無傷部位には認められなかった。さらに,鰓,心臓,腎臓,脾臓にも菌が観察された。自然感染アユでは,筋肉に顕著に菌が認められ,上記臓器に加えて肝臓,膵臓,胃,幽門垂,腸でも検出されるものがあった。しかし,脳には菌が認められなかった。

単生類ネオヘテロボツリウムの攻撃試験によって生じたヒラメの貧血

2000/11/14
良永知義・釜石 隆・瀬川 勲・山野恵介・池田華子・反町 稔
 近年日本各地の養殖および天然ヒラメに出現している貧血症の原因を明らかにするため,単生類寄生虫Neoheterobothrium hirame のヒラメへの攻撃試験を行った。攻撃試験によって,血中ヘモグロビン量の低下やヒラメ貧血症の特徴となっている幼若赤血球の出現,細胞質の空胞変性や染色性の低下を伴う幼若赤血球および成熟赤血球の出現が観察された。この結果より,本虫がヒラメ貧血症の原因生物であることが示唆された。

単生類 Neoheterobothrium hirame のヒラメにおける寄生部位と寄生様式

2000/12/18
H. Anshary・小川和夫
 ネオヘテロボツリウムはヒラメに着定当初は鉤を用いて鰓薄板基部に寄生した。虫体の成長とともに鰓薄板中央部に移動し,把握器によって鰓薄板を二つ折りにして寄生した。その後,鰓弓・鰓耙を経て口腔壁に移動した。口腔壁移動当初は把握器で組織表面を掴んでいたが,組織の崩壊とともに皮下および筋肉組織を把握した。体後半は宿主組織内に埋没し,虫体周辺には強度の炎症反応と組織壊死がみられた。鰓弓・鰓耙にも若い成虫はみられたが,産卵するのは口腔壁の成虫のみと考えられた。

鰓からの単生虫の新しい採集法を用いた中部日本海海域の天然ヒラメにおける Neoheterobothrium hirame の寄生の年変動調査

2000/12/19
H. Anshary・小川和夫・樋口正仁・藤井徹生
 ネオヘテロボツリウムの未成熟虫体をスターラーによって固定した鰓から脱落させて計数するという簡便法を開発した。鰓弓と鰓耙の虫体は実体顕微鏡で,口腔壁の虫体は肉眼で確認した。この方法で1989-99年に新潟県で採捕された 0 歳ヒラメにおける寄生の年変動を調査した結果,寄生は93年に初確認され,以降毎年みられた。 0 歳魚における寄生は感染源となる 1 歳魚における寄生状況や 0 歳魚の加入数の影響を受けると考えられた。

単生類 Diplectanum aequans の卵発達と孵化に及ぼす低水温の影響

2000/5/29
S. Cecchini・M. Saroglia・A. M. Cognetti-Varriale・G. Terova・G. Sabino
 ヨーロッパシーバス Dicentrarchus labrax に寄生する単生類 D. aequans の冬から春にかけての感染環を知る目的で,虫卵の孵化に与える低水温の影響を実験的に調べた。産出直後の D. aequans の卵を 5。C で異なる期間(最長で28日間)保持した後,室温(18。C)に移して孵化させた。卵を21日間以上 5。C に保つとその後の室温での孵化率が低下したが,14日間では孵化に影響しなかったことから,虫卵はある程度低水温に耐性があることが示された。

養殖ストライプドバス交雑種におけるパスツレラ症

2000/8/14
H.-T. Huang・C. Tu・S.-H. Chuang・H.-H. Hung・J.-F. Su・S.-Y. Lin
 米国から導入したストライプドバス交雑種(Morone saxatilis ×M. chrysops)を台湾で養殖していたところ,細菌病が発生し,飼育魚(全長 20ミ25 cm)の13%程度が発病しその約半数が死亡した。病魚の脾臓や腎臓には灰白色のノジュールが形成され,病理組織学的に造血組織における壊死が確認され,一種類の細菌が分離された。分離菌は,その形態,生化学的性状,および PCR による遺伝子検査などの結果から,Photobacterium damselae subsp. piscicida に同定された。

本邦亜熱帯域養殖対象魚種のマダイイリドウイルスに対する感受性

2000/11/20
佐野元彦・皆川 恵・杉山昭博・中島員洋
 本邦亜熱帯地域の養殖対象魚種であるヤイトハタ,ハマフエフキ及びスギのマダイイリドウイルスに対する感受性を感染実験により検討した。ヤイトハタは,マダイと同様に高い感受性を示し,死亡魚の脾臓などにおいて好塩基性の肥大細胞の出現と脾細胞壊死が観察された。一方,ハマフエフキ及びスギ両魚種の感受性は,比較的低かった。海面養殖生簀でのこれら 3 魚種におけるマダイイリドウイルス病の発生状況は,本実験で示された感受性の違いとほぼ一致した。

ヒラメレンサ球菌症の実験感染

2000/12/13
H.T.Nguyen・金井欣也・吉越一馬
 ヒラメに経口および菌浴法で Streptococcus iniae を人為感染させ,発病するか否かを調べた。攻撃菌数をそれぞれ 3 段階設定(経口法:9.9エ107, 105, 103 CFU/100 g 魚体重,菌浴法:2.9エ107, 105, 103 CFU/mL)して攻撃したところ,経口法では最高の攻撃菌数でのみ死亡したのに対し,菌浴法では最低の攻撃菌数でも死亡魚がみられた。いずれの攻撃法でも死亡魚の鰭には出血性患部が形成されており,S. iniae は体表,例えば鰭の傷などから感染する可能性が高いと考えられた。