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第35巻 4号

養殖マガキの消化管内細菌叢

飯田悦左・本田理恵・西原正人・室賀清邦
養殖マガキの消化管内細菌叢を年 4 回 2 年間にわたって調べた結果,Vibrio, Cytophaga, Alteromonas, Moraxella および Pseudomonas 属細菌が菌叢の80%を占めていた。菌数(ZoBell 培地にて104.3ミ105.6 CFU/g)および属レベルでみた菌叢には顕著な季節的変化は認められなかった。Vibrio 属細菌について種レベルまで簡易鑑別した結果,夏に V. harveyi が優占するなど,優占種の季節的変化が認められた。また,冬の調査時に21個体のうち 1 個体の血リンパからカキに対して病原性を示す Vibrio 属細菌の 1 種が純粋に分離された。

アワビの筋萎縮症原因体の性状に関する検討

2000/7/7
桃山和夫
 アワビ筋萎縮症原因体の性状を知るために,クロアワビ稚貝を用いて感染実験を行った。病貝磨砕濾液へ浸漬後 12。C で飼育した場合,実験終了時の60日後においても異常細胞塊の形成は軽度であった。18。C では40日以後,重症個体の割合が実験終了時まで増加した。24。C では病変は概して軽度で,40日以後快方に向かった。自然発症クロアワビ稚貝の筋注法による感染力価は約103 ID50/mL/g 軟体部重量であり,筋注接種40日後の実験感染個体のそれは約105 であった。原因体は孔径 220 nm のフィルターを通過し,100 nm のフィルターは通過しなかった。

Flavobacterium columnare 実験感染がウナギ IgM 産生能に及ぼす影響

2000/07/13
平薮栄治・間野伸宏・内田大介・鈴木隆志・廣瀬一美
 Flavobacterium columnare の実験感染がウナギの IgM 産生能に及ぼす影響について検討した結果,血清総 IgM 量,血清総タンパク質量に占める血清総 IgM 量の割合および IgM 産生細胞数が有意に減少した。また,当菌の主要病原因子と推定される菌体外産生物(ECP)を腹腔内接種した場合でも,ウナギの IgM 産生能は低下した。ECP は,in vitro においてもウナギリンパ球に対して細胞毒性を示したことから,ECP がウナギの IgM 産生能の低下に重要な役割を果たしていると考えられた。

河川における Flavobacterium psychrophilum の分布調査

2000/7/13
網田健次郎・星野正邦・本間智晴・若林久嗣
 1999年 5 月から12月に新潟県海川で天然遡上アユ,標識放流したアユ種苗,流下アユ仔魚および他の生息魚を採集して F. psychrophilum の検出を試みた。IFAT または nested PCR により検査した結果,放流前のアユ種苗の一部,採集された全てのグループのアユと他の 4 魚種(ヤマメ,ウグイ,ウキゴリ,ヨシノボリ)および成熟アユの卵から本菌が検出され,また,河床の微細藻類や河川水の一部が PCR 陽性を示した。これらの結果から親魚から仔魚への冷水病菌の伝播,放流魚や他魚種等から天然遡上アユへの伝播の可能性が示された。

アジュバントを添加したアユ冷水病ワクチンの有効性

2000/7/21
M. H. Rahman・乙竹 充・飯田悦左・横溝祐一・中西照幸
 アユ冷水病不活化注射ワクチンについて,市販のオイルアジュバントおよびスクワレンを含む試作オイルアジュバントの添加効果を調べた。各ワクチンでアユ稚魚を免疫し 4 週間後に攻撃して有効性を調べたところ,両アジュバント添加ワクチンはアジュバント無添加ワクチンに比べて有意に高い有効性を示した。また,免疫後の血中抗体価は,アジュバント添加ワクチン免疫群がアジュバント無添加ワクチン免疫群に比べて有意に高かった。これらの結果から,オイルアジュバント添加は冷水病ワクチンの有効性の向上に役立つと考えられた。

ニジマスのマクロファージと好中球に共有される抗原を認識するモノクローナル抗体の性状

2000/7/26
黒田 丹・岡本信明・福田穎穂
 ニジマス腹腔内浸潤細胞を免疫原としてモノクローナル抗体の開発を試み,マクロファージと好中球のみに反応性を有する 4 種の抗体を得た。これらは両細胞群に反応性を有し,うち 2 種は細胞膜抗原反応性であり,他の 2 種は細胞質内抗原反応性であった。ウエスタンブロットの結果,各抗体はそれぞれ異なる抗原を認識すると判断された。本研究で得た細胞膜抗原反応性抗体を磁気細胞分取法に試用したところ,得られた分画は95%以上がマクロファージと好中球で占められていた。

ヘテロボツリウム孵化幼生を用いたトラフグへの標準化感染実験

2000/8/3
千ヶ崎 学・中根基行・小川和夫・若林久嗣
 蛍光色素 CFSE で生体染色したヘテロボツリウム孵化幼生を 0 歳トラフグに感染させた。CFSE は孵化幼生の感染能力に影響しなかった。0 - 4 日齢の孵化幼生を異なる濃度(1 L,1 尾当り29,58,116虫)と接触時間( 1 -10時間)で感染させ,以下の結果を得た。孵化幼生の感染能力は経日的に低下し,2 日齢以降はほとんど感染しなかった。濃度は着定率に影響しなかった。着定率は 3 時間以降は有意に増加しなかった。従って,孵化後 1 日以内の幼生に 3 時間接触させるのを標準感染法とした。

定量 PCR による浸漬感染実験アユにおける Pseudomonas plecoglossicida の動態に関する研究

2000/8/18
Sukenda・若林久嗣
 アユを 107 CFU/mL の P. plecoglossicida 菌液に15分間浸漬し,1,3,6,12,24,48,72時間後に,皮膚,鰓,肝臓,腎臓,膵臓,血液中の菌量を定量PCR によって計測した。皮膚と鰓では 1 ~ 3 時間後から,肝・腎・脾臓では 6 時間後から,血液では48時間後から検出された。これらのことから,皮膚と鰓が感染門戸であること,6 時間以後は肝・腎・脾臓に感染病巣が形成されたこと,48時間後には敗血症になったことが推察された。

ヒラメに寄生する単生類 Neoheterobothrium hirameの孵化幼生の形態

2000/7/29
小川 和夫
 ヒラメ寄生の単生類 Neoheterobothrium hirame の孵化幼生の形態を記載した。Neoheterobothrium 属単生類の孵化幼生の記載はこれが初めてである。体長は 0.25-0.32 mm であった。眼点を欠くことなど,トラフグ寄生のHeterobothrium okamotoi を含むディクリドフォラ科の孵化幼生と共通点が多く,固着盤の構造や繊毛の配列もよく似ていた。