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第35巻 3号

オニテナガエビ血球の in vitro における貪食作用に対する LPS の効果

H.-H. Sung・P.-A. Kuo・W.-Y. Kao
オニテナガエビの血球を in vitro で短期間維持し,血球の貪食作用に及ぼす LPS の効果を調べた。血球の生残率が高かった M-199 培地への LPS の添加により,顆粒細胞と小顆粒細胞は,ザイモサン粒子(1ミ4 mm)を貪食したが,無顆粒細胞は接触するだけで貪食はしなかった。一方,0.5 mm の蛍光ビーズは主に無顆粒細胞により貪食された。また,LPS の添加により血球の偽足は伸張し,血球サイズや取り込み粒子数が増加した。貪食に関与するリソゾーム酵素は無顆粒細胞において高かった。

ニジマスにおける Campylobacter cryaerophila 感染症:症状,病理,原因菌および治療

S. Aydin・N. G殕tepe・H. Yildiz
1997年および1998年にトルコのニジマス養殖場において病気が発生し,病魚の内臓から Campylobacter cryaerophila が分離され,筋肉内接種により分離株のニジマスに対する病原性が確認された。コイにも分離株を接種したが,病原性は認められなかった。自然および実験的感染ニジマスにおける血液化学的検査の結果,感染魚におけるヘマトクリット値やグルコースの低下が示された。薬剤感受性の結果に基づき,ホルマリン薬浴後にエンロフロキサシンを経口投与し,治療に成功した。

In vitro におけるテラピア好酸性顆粒球の脱顆粒と好中球遊走への関与

松山知正・飯田貴次
テラピア好酸性顆粒球(EGC)の顆粒成分に対する好中球遊走反応をボイデンチャンバー法で測定した。鰾膜から分離した EGC は,サブスタンス P で刺激するか,ザイモサンを加えたテラピア正常血清に浮遊させた場合に脱顆粒した。チャンバー下室に EGC と刺激剤を入れ EGC を脱顆粒させた場合,上室で好中球の遊走が観察された。EGC 脱顆粒を抑制すると好中球の遊走反応が見られなくなることから,EGC が脱顆粒に伴って何らかの好中球遊走活性化因子を放出すると考えられる。

貧血ヒラメの血液性状,病理組織および単生類 Neoheterobothrium hirame の寄生状況

2000年 5 月10日
良永知義・釜石 隆・瀬川 勲・熊谷 明・中易千早・山野恵祐・竹内照文・反町 稔
近年ヒラメに頻発している原因不明の貧血症について,血液学的,寄生虫学的検査と造血器官の病理組織学的観察を行った。血液学的には,幼若赤血球の増加と赤血球細胞質の空胞変性および染色性の低下が認められた。病魚の造血器官にヘモジデリンの沈着や組織壊死像はほとんど見られず,貧血魚には N. hirame が高率に寄生していた。このことから,本貧血症は寄生虫による失血性貧血であることが強く示唆された。

サケジラミ幼生の活力と宿主の着定能力

C. S. Tucker・C. Sommerville・R. Wootten
寄生前の幼生期(ノープリウス,コペポディット)のサケジラミのエネルギーレベルを測定した。コペポディット幼生のエネルギーレベルは同じ時期の自由生活性のカイアシ類とほぼ同等であった。エネルギーレベルは孵化 5 日後には有意に減少した。7 日齢のコペポディットは 1 日齢と 3 日齢のものより低下はしたものの,依然としてタイセイヨウサケへの寄生能力を保持していた。寄生後は 7 日齢の幼生も 1 日齢や 3 日齢の幼生と同等の成長や生残を示した。

「やせ病」トラフグの腸管にみられた粘液胞子虫と超寄生微胞子虫

Tin Tun・横山 博・小川和夫・若林久嗣
「やせ病」養殖トラフグの腸管に粘液胞子虫とその栄養体に超寄生する微胞子虫が観察された。粘液胞子虫としては,新種 Myxidium fugu,新種 Leptotheca fugu および Myxidium sp.の 3 種類を記載した。M. fugu は腸管上皮細胞に付着して発育したが,L. fugu と M. sp. は腸管上皮組織内で発育した。これらの多くは栄養体として観察され胞子形成は稀であったが,染色性と発育部位の違いにより種の識別が可能であった。 2 新種の栄養体内には,しばしば未同定の微胞子虫が超寄生していた。

PCR 法と間接蛍光抗体法によるブリからのアマミクドアの検出

横山 博・井上大輔・杉山昭博・若林久嗣
アマミクドアの 18SrDNA 配列に基づく PCR 法を開発するとともに超音波破砕胞子に対する抗血清を作製した。流行海域で 1 ヶ月間飼育したブリでは,肉眼検査や顕微鏡観察によりアマミクドアの感染は確認できなかったが,PCR 法では検出された。飼育 3 ヶ月と 5 ヶ月後では従来法でもシストまたは胞子が検出できたが,PCR 法の方が感度が高かった。1 ヶ月後には筋細胞内に多核の栄養体が観察され,間接蛍光抗体法によりアマミクドアの胞子形成前ステージであることが確認された。

テラピア血管内皮細胞の初代培養

松山知正・飯田貴次
テラピア血管内皮細胞の初代培養法を確立した。内皮細胞は鰾の赤腺をコラゲナーゼで消化して分離した。FBS およびテラピア非働化血清をそれぞれ10%含む L-15 培地に内皮細胞を再浮遊し,ゼラチン処理を施した96穴プレートに播いた。30。C 培養で,細胞は約 3 日でプレートに付着し,10日後にコンフルエントに達した。培養内皮細胞は単層よりなり,サブスタンス P による刺激に反応して,カルシウムイオンを細胞内に取り込むことが確認された。本法で得られた培養内皮細胞は,魚類血管系の研究および化学伝達物質の活性測定に有用と考える。

ニジマス体表から脾臓・腎臓への蛍光ビーズの運搬

桐生郁也・乙竹 充・中西照幸・若林久嗣
魚の体表の創傷部位に取り込まれた水中懸濁微粒子の運搬機構を解明するため,直径 1 mm の蛍光ビーズ懸濁液にニジマス稚魚を24時間浸漬後,魚を流水で飼育した。その後,20日間経時的に魚を取り上げ,皮膚,鰭,脾臓および腎臓を光顕・電顕を用いて組織学的に観察した。創傷治癒初期には表皮の上皮細胞内および真皮中に認められたビーズは,8 日以後には表皮・真皮中のメラニン顆粒を有するマクロファージに取り込まれ,また,脾臓・腎臓のメラノマクロファージセンターに認められるようになった。