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日本魚病学会事務局(2013年1月より)
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第35巻 2号

コルチゾールによるテラピア好酸性顆粒球の脱顆粒抑制

松山知正・黒木順子・飯田貴次
ストレスホルモンであるコルチゾールのテラピア好酸性顆粒球(EGC)におよぼす影響を調べた。コルチゾールを腹腔内投与すると,大腸菌死菌およびサブスタンス P 接種による鰾内 EGC の脱顆粒率が有意に低下した。同じ物質により分離 EGC を in vitro で刺激した場合にもコルチゾールは EGC 脱顆粒を抑制した。さらにコルチゾール腹腔内投与によって鰾膜の EGC 分布密度が低下する傾向が見られた。以上より,コルチゾールは直接的に EGC 脱顆粒を抑制し,組織内の EGC を減少させることから,炎症反応に抑制的に働くものと考えられる。 1014491774
グッピーに見られたテトラヒメナ症
今井壮一・釣巻さやか・後藤英子・脇田国香・畑井喜司雄
シンガポールから輸入されたグッピーに繊毛虫寄生による大量斃死が見られたことから,病理組織学検索と種の同定を行った。繊毛虫の寄生部位は主として鱗嚢内,筋間結合織,肝臓や腸管などの実質臓器内であったが,頭蓋腔や脊髄に侵入している像も見られた。腸管上皮には障害が認められなかったことから,主な侵入部位は体表面であると考えられた。シンガポールで採取した繊毛虫を鍍銀染色し,得られた所見を今までの記載と比較した結果,Tetrahymena corlissi と同定した。

ウナギ皮膚粘液中の細菌凝集素

2000年 1 月19日
小數賀祐子・間野伸宏・廣瀬一美
ニホンウナギの皮膚および飼育水から分離した282菌株の細菌を用いて,ウナギ皮膚粘液抽出物に対する凝集反応試験を行った。その結果,皮膚分離細菌は,飼育水分離細菌に比べ被凝集菌株が少なく,凝集力価も低い傾向が認められた。また,ウナギ皮膚粘液レクチン
(SML)に特異性をもつラクトースを用いて凝集阻害試験を行った結果,両分離細菌ともに60%以上の菌株が阻害されなかった。これは,SML とは別の細菌凝集素がウナギ皮膚粘液中に存在することを示している。

ニジマスに感染させた微胞子虫 Glugea plecoglossi の in situ ハイブリダイゼーション法による検出

李 宣・横山 博・小川和夫・若林久嗣
アユのグルゲア症原因微胞子虫 G. plecoglossi の感染実験系を確立するため,ニジマスを供試魚として攻撃実験を行った結果,寄生状態はアユと差がなく,実験モデルとしての有用性が示された。さらに,G. plecoglossi を特異的に検出する in situ ハイブリダイゼーション(ISH)法を開発し,虫体の検出を試みた。その結果,胞子の経口投与 5 分後において,ニジマスの腸上皮組織内に ISH 陽性のシグナルが検出され,ISH 法が特に感染初期ステージの検出に有効であることが示された。

ヒラメの単生類 Neoheterobothrium hirame の卵に及ぼす温度,塩分濃度,塩素処理の影響

良永知義・瀬川 勲・釜石 隆・反町 稔
ヒラメに寄生する単生類 N. hirame の卵のふ化に及ぼす水温, 塩分濃度および塩素処理の影響を検討した。卵は 10~25。C ではふ化したものの,30。C ではほとんどふ化しなかった。また,1/3 海水から全海水の広い範囲の塩分濃度(塩分濃度 11ミ33艨jでふ化したが,蒸留水および 2 倍濃度海水では全くふ化せず,1.5倍濃度海水ではふ化率の低下が観察された。次亜塩素酸ナトリウムによる塩素処理では有効塩素濃度 50 ppm,15分間の処理でも対照とほぼ同様のふ化率を示した。

漢方生薬配合 C-UPのテラピアにおける免疫増強効果

N. Chansue・A. Ponpornpisit・延東 真・酒井正博・吉田 哲
漢方薬 C-UPは,乳牛の乳房炎の予防に使われているが,テラピアに経口投与した時の免疫増強効果を検討した。対照区のテラピアでは Aeromonas hydrophila 攻撃により,攻撃後 7 日間の累積死亡率は約40%に達した。C-UP投与区での累積死亡率は約 3 %と,著しく低かった。また好中球の貪食能と化学発光能は,C-UP投与個体で対照個体より高かった。C-UPによる A. hydrophila 抵抗性の向上と好中球の化学発光能の増強効果は,グルカンやラクトフェリンより強かった。

養殖アユから分離された褐色色素産生 Pseudomonas plecoglossicida

朴 世昌・嶋村一郎・萩平 将・中井敏博
1999年 4 月に徳島県下のアユ養殖場で出血性の腹水症状を呈する病魚から,水溶性の褐色色素を産生するグラム陰性,好気性,非運動性の桿菌が分離された。形態学的,生化学的性状および抗 -P. plecoglossicida 血清との凝集試験結果に基づいて,分離株は細菌性出血性腹水病の原因菌である P. plecoglossicida に同定された。分離株のアユに対する病原性は強く,そのLD50 値は 7×100 CFU (筋肉内注射)であった。本病の原因菌に褐色色素産生株も存在することが判明した。

冷水病菌の gyrB 遺伝子の塩基配列の決定と PCR による同定への応用

泉庄太郎・若林久嗣
冷水病原因菌(Flavobacterium psychrophilum)のジャイレース B 遺伝子(gyrB)の部分的塩基配列を決定した。それに基づいて F. psychrophilum に特異的な PCR プライマーを作製し,冷水病菌の同定に使用した。これらのプライマーを用いた結果は,既に報告されている 16S rRNA の塩基配列に基づくプライマーを使用した結果と同等であった。今回決定した冷水病菌の gyrB の塩基配列は,今後,冷水病の疫学調査,系統解析などに利用できると考えられた。

インドネシアで発生したサラサハタ仔稚魚のウイルス性神経壊死症

Zafran・I. Koesharyani・F. Johnny・湯浅 啓・原田 隆彦・畑井喜司雄
インドネシア,バリ島の種苗生産場で飼育されていたサラサハタ仔稚魚(12~52日齢)に大量斃死が発生した。罹病魚は水槽底で横たわるか,水面付近できりもみ遊泳を示し,病理組織学的に網膜および脳に顕著な空胞変性が認められた。また SJNNV 検出用プライマーを用いた PCR で陽性を示した。2 ヵ月齢サラサハタ稚魚を用いた病魚の磨砕濾液による浸浸感染試験の結果,試験魚は自然感染魚と同様の病理組織所見を示した。

ヒラメに寄生する単生 Neoheterobothrium hirame に対する食塩添加海水浴の影響

良永知義・釜石 隆・瀬川 勲・山本栄一
N. hirame に対する3 %(w/v)食塩添加海水の影響を調べた。未成熟虫体が寄生するヒラメの鰓を食塩添加海水に60分間浸漬したところ,半数以上の虫体が脱落した。被寄生魚に食塩添加海水浴を施したところ,60分間で全ての未成熟虫体が脱落し,食塩添加海水浴の未成熟虫体駆除効果が示された。口腔壁に寄生する成虫を宿主組織ごと食塩添加海水に浸漬したところ,他の虫体に固着していた虫体は脱落したが,宿主組織に固着していた虫体は脱落せず,食塩添加海水浴の成虫駆除効果は小さいことが明らかになった。