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日本魚病学会事務局(2013年1月より)
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第35巻 1号

台湾の養殖ウシエビのイエローヘッド病

Y. -C. Wang・P. -S. Chang
ウシエビ血リンパから,エンベロープを有する 140ミ200 nm エ 35ミ50 nm の WSSV と異なる桿状ウイルスが得られた。精製ウイルスの密度は 1.154ミ1.162 g/mL であり, SDS-PAGE による解析では 20, 63, 及び 110 kDa の構造蛋白が観察された。精製ウイルスをウシエビに接種すると短期間に致死せしめた。形態,病理変化,構造蛋白及び YHV プライマーを用いた RT-PCR 診断から,このウイルスはタイの YHV に極めてよく類似していた。1996-1999年に台湾の養殖場から得たウシエビ試料を PCR 法によって検査した結果, WSSV と混合感染の形で YHV が検出された。

クロアワビ筋萎縮症の水平感染

1999年 7 月26日
中津川俊雄・岡部三雄・室賀清邦
クロアワビにおける筋萎縮症の水平感染の可能性について実験した。その結果,感染耐過した 2 年貝の飼育排水に曝した 0 年貝は本症に罹った。また,食欲不振等の異常は認められたものの本症に特徴的な腫瘍様病変は認められなかった雌親貝と 5 日間同居させた 0 年貝も発病した。これらの結果から,感染耐過貝や不顕性感染を受けた親貝から本症の原因体である濾過性病原体が排出され,それが水を介して感受性の高い稚貝に感染すると考えられ,アワビ種苗生産施設における水平感染防止の重要性が示された。

マガキ血球における NADPH 酸化酵素様活性

高橋計介・森 勝義
マガキ血球における NADPH 酸化酵素様酵素の活性について検討した。ホルボールエステル(PMA)で刺激された血球にはシアン耐性呼吸による急激な酸素消費とスーパーオキシド(O2ミ)の生成が認められた。この酸素消費と O2ミ の生成は,哺乳類 NADPH 酸化酵素の活性阻害剤である diphenyleneiodonium の添加により顕著に阻害された。また,PMA 刺激血球を界面活性剤で溶解し,O2ミの生成を停止した溶解質に NADPH を添加した結果,溶解質での O2ミ 生成能が回復した。以上より,マガキ血球において NADPH 酸化酵素様活性の存在が示唆された。

台湾の養殖パシフィックホワイトシュリンプにおけるタウラ症候群の発生

C. -I. Yu・Y. -L. Song
1999年 3 月に養殖中のパシフィックホワイトシュリンプの幼エビに大量死が発生した。病エビは,摂餌不良,遊泳異常などを示し,筋組織は透明感を失い,外皮は赤味が薄れていた。病エビの頭胸部や腹部の外骨格には多数の黒色化した病変部がみられ,付属肢,頭胸部,および前腸部の上皮や皮下組織に顕著な壊死がみられた。TSV 特異 cDNA プローブによる in situ hybridization では,検査した87%の個体が TSV 陽性であり,台湾で発生した大量死の原因は TSV またはその類似ウイルスが原因と考えられた。


ギンザケ卵内への水中からのFlavobacterium psychrophilum の侵入


熊谷 明・山岡茂人・高橋清孝・福田穎穂・若林久嗣
ギンザケ卵に対する F. psychrophilum 感染条件と実験感染卵内部からの菌の検出について検討した。受精直後吸水前の卵を 108 CFU/mL の菌液に30分間浸漬した場合には卵内へ侵入し感染が成立したが,106,104 CFU/mL の菌液では感染しなかった。また,吸水後の卵及び発眼卵を 108 CFU/mL の菌液に浸漬しても卵内感染は成立しなかった。実験感染卵の内容物から 103~107 CFU/g の F. psychrophilum が分離され,蛍光抗体法で卵内に多数の菌体が観察された。以上より,F. psychro-philum は吸水時にギンザケ卵内へ侵入したと考えられる。

Aphanomyces piscicida が有する赤血球凝集能および溶血能

倉田 修・金井 仁・畑井喜司雄
A. piscicida の菌糸磨砕液は,キンギョ赤血球に対する凝集能および溶血能を有した。本凝集能は,60。C,30分間の熱処理および EDTA 添加の影響を受けなかった。D-galactose (D-gal) または lactose の添加は凝集活性を阻害した。affinity chromatography を用いた試験で,本凝集素は D-gal 結合性を示した。一方,溶血活性は 60。C,30分間の熱処理で低下したが,D-gal の影響は受けなかった。これらの因子は A. piscicida の病原因子であることが示唆された。

国内で分離された非定型 Aeromonas salmonicida の16S rDNA による系統解析

山田義行・加来佳子・若林久嗣
非定型 Aeromonas salmonicida の系統解析を 16S rDNA の塩基配列の解析により行った結果,国内で分離された菌株は,キンギョ由来菌株,ウナギおよび海産魚(ムシガレイ,アイナメ,ヒラメ,クロソイ)由来菌株,ニシキゴイ由来菌株,マゴイ由来菌株の 4 グループに分類された。近年における本菌の宿主範囲の拡大はキンギョ由来菌株とは系統を別にする菌株群によると考えられた。

ニジマス体表面における蛍光ビーズの取り込み

桐生郁也・乙竹 充・中西照幸・若林久嗣
魚体表面における水中微粒子の取り込み機構を明らかにするため,直径 1 mm の蛍光ビーズ懸濁液にニジマス稚魚を浸漬後,魚体表面を流水で洗浄した。その 1 分後から24時間後まで経時的に体表面に付着または取り込まれたビーズを定量し,また,光顕・電顕を用いて組織学的に体表を観察した。その結果,魚体洗浄後も体表の微小創傷部の表面にはごく少数のビーズが付着し続け,遊走性の上皮細胞が創傷を被覆して修復する過程で,これらのビーズは遊走性の上皮細胞に取り込まれたり,真皮層に包埋された。この所見は実験的創傷でも確認された。

Aphanomyces piscicida に対するコイ血清の殺真菌活性

倉田 修・金井 仁・畑井喜司雄
真菌性肉芽腫症の原因菌である Aphanomyces piscicida に対し,コイ血清は殺真菌活性を持つことを明らかにした。A. piscicida の胞子とコイ血清を混合培養後,顕微鏡にて観察したところ,コイ血清は,胞子の発芽および発芽後の菌糸の発育を抑制し,菌糸原形質を褐色に変化させ,それらの菌を死滅させることが確認された。試験に用いた多くのコイ(55尾中44尾)に本活性が認められた。血清中の抗菌因子は,50。C,30分間の処理で失活せず,ザイモザン処理による影響を受けず,100 kDa 以下の低分子であることが示唆された。

高速液体クロマトグラフィーによるブリ血清中ニフルスチレン酸ナトリウムの簡易定量法

1999年11月 8 日
瀬川 勲・池田和夫
ブリ血清中ニフルスチレン酸ナトリウム(NFS)の簡易定量法を開発した。NFS を添加した血清にアセトニトリルを加え,抽出物を直接C18 カラムに注入した。測定波長には 420 nm を,移動相には 50 mM フタル酸カリウム(pH4)-アセトニトリル混合液(混合比 40:60)を用いた 。その結果,102%の回収率および,ピーク面積と NFS 量に直線的な相関が得られた。この手法を用いることにより,100 mL のブリ血清中の 2.5 ng から 1000 ng までの NFS を簡便に定量することが可能となった。